過去記事に電気回路と失敗学に関して記しました。
今回はその複合系の電子部品・電気設備の失敗学についてです。
はじめに書いておきますが、
電子部品と電気設備の失敗内容は全く異なりますので
電子部品を扱う人は電子部品の失敗学
工場などで電気設備全般を扱う人は電気設備
の失敗学を参照ください。
電子部品を製造する工場の生産技術者は
どちらの知識も役に立ちます。
・電子部品の失敗学
まずは電子部品の失敗学から。
紹介する本は 電子機器内で扱われる電子部品ごとの故障事例を載せています。
対象は、半導体部品、コンデンサ、抵抗、プリント基板、はんだ、電源です。
また、事象による故障事例も載せています。
イオンマイグレーション、ウイスカ、湿度と温度による故障全般
そして、故障した時の解析方法及び信頼性試験手法を載せており、
電子部品の失敗学を網羅できています。
分野外から電子部品を扱う業界に来た方は
何がなんだかわからずに途方に暮れているとおもいますが、
この本を読むと部品ごとと事象ごとと故障解析と信頼性試験が載っているので
全体像は把握できると思います。
なお、私自身も電子部品の故障メカニズムに関しても本を出版しているので
良ければ是非読んでみてください。
いずれにせよ、全体像を知らないまま詳細を学んでも
頭に入ってこないので初学者にはおすすめです。
この本は2001年に出版されていますが現在も有効なバイブル的な本です。
電子部品で多いのが半導体に関する解析のため
そちらの詳細は下記の本がおすすめです。
バスタブ曲線など基本的な故障の特徴を解説したのち、
信頼性手法や寿命についてを式を用いての解説
故障解析については
非破壊解析の超音波顕微鏡、X線CT、ロックインサーモ
分解解析後のOBIRCH、SEM、TEM
などを各論で解説しています。
実際の故障解析の事例も載せており、
本書で電子部品の故障解析は一通りマスターできます。
・電気設備の失敗学
続いては電気設備の失敗学です。
こちらは、電子部品の故障原因の内容はほぼ役に立たず、
そもそもの配線の仕方(不要配線が残ってショートしていないか)
漏電対策ができているか(漏電した時の遮断機があるのか)
設備設置場所は正しいのか (漏電につながる)
メンテナンスのポイントとメンテナンスをする理由(ボルトの締め付けが不十分だと接触抵抗を持ち火災)
などです。
電気設備はどうしても高電圧を扱うので
金属間の高電圧によるスパークなど、火災につながる要素が多いです。
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